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「流れる雲のように」 第11話 末井昭

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高校卒業し出版界に入るまでの苦悩と葛藤を描いた連載小説! 挿画/東陽片岡

「流れる雲のように」 第11話 末井昭

11. チンポコの塔

上野クインビーはビルの3階と4階にありました。3階と4階が別々のフロアではなく、3階にあるステージが4階から見下ろせるような構造になっていました。

普段はどの席からもステージが見える3階席にお客さんを入れ、4階は3階席にお客さんが入り切れないときだけ使うので、たいてい誰もいません。僕はショーが始まる時刻になると仕事場を抜け出し、その4階からよくステージを見ていました。

キャバレーのショーで多いのがダンスものです。一口にダンスといっても、ヌードショー、リンボーダンス、アダジオパッケージ、ラテンショー、金粉ショーといった、様々なダンスショーがあります。ダンスものの他では、歌や手品やコント、ブルーボーイショー、ピンク映画残酷ショーといったものから、のちにビューティ・ペアを生み出す女子プロレスもありました。

そういうショーのブッキングをするのが、僕らがいる宣伝課の隣にあった芸能課でした。

昭和30年代に比べればやや陰りが差していたものの、まだまだ大衆キャバレーに来るお客さんは多く、キャバレー廻り専門の芸人さんもたくさんいて、そういう芸人さんが所属している事務所から広告費をもらって発行している、『SHOW in JAPAN』という業界誌もありました。

芸能課は課長を含めて5人いて、全員男性でした。昼間は『SHOW in JAPAN』を見たりしながら、ショーのブッキングをしているのですが、上野クインビーが開店になる時刻になると、みなさんワイシャツの上にハッピを着て下に降りていきます。

芸能課の人たちは上野クインビー専属バンド、クインビー・オーケストラのバンドマンでもあったのです。さっきまで机に向かっていた人たちが、夜はステージで演奏している、芸能課はカッコいいなあと思って見ていました。

芸能課長はクインビー・オーケストラのバンマスで、黒いスーツに蝶ネクタイでタクトを振っていました。この課長はゲイ(当時はホモと言っとりました)だったようで、宣伝課の誰々が課長に狙われているとか、ひそひそと噂になったりしていましたが、宣伝課の課長に比べるとエバったりしない優しそうな人だったので、僕はなんとなくその課長が(同性愛的にではなく)好きでした。

ショーばかり見ている僕は、そのうち課長から照明を頼まれるようになりました。ステージの照明は店の人がやっていましたが、4階から芸人さんの動きを追うピンスポットの係がいませんでした。

ピンスポットをよく使うのがストリップです。最初は華やかな照明の中、華やかな衣装で踊るのですが、踊り子さんがだんだん脱いでいき、全裸にスカーフ1枚になると音楽もエロっぽくなり、ステージが暗くなります。ピンスポットの出番です。

上からピンスポットで踊り子さんの動きを追っていると、たまに踊り子さんと目が合ってドキッとします。スカーフで隠して客席からは見えない陰毛が、チラッと見えたりするときがあります。それはたまたま見えただけなのですが、僕にわざと見せてくれたんじゃないかと思ってドキドキしたりしていました。

僕はよくわからなかったのですが、クインビー・オーケストラの演奏は、だいぶ下手なようでした。月に1回ぐらい、店にハクをつけるために大物歌手(といっても往年の歌手が多かったのですが)を呼ぶことがあります。あるとき、昭和36年に「東京ドドンパ娘」という歌がヒットした渡辺まりという歌手が出演していたのですが、2曲目で突然歌うのをやめてしまったのです。あまりにも演奏が下手で、これじゃあ歌えないと言ってステージを降りてしまいました。ステージでまごまごしている課長が気の毒でした。

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イラスト: 東陽片岡

さて、そろそろ職場に戻ります。

仕事は相変わらず「クインビー東京踊り」とか「純生娘大行進」とか、店でやる催し物のチラシやらポスター作りです。その頃『少年マガジン』で、ジョージ秋山さんが「アシュラ」という漫画を連載していました。僕は怨念を背負ったアシュラが大好きで、チラシにおどろおどろしいアシュラが空を飛ぶ絵を描いたことがあります。

僕の作るチラシやポスターはだいたい評判が悪いのですが、アシュラのときは、課長に「なんだこれは? どういう意味なんだ?」と怒られました。「いや、あの、少年マガジンで話題になっているので…」とか口では言いながら、心の中では「フフフ、意味ときたか。なんでも意味だ。意味のないものや目的のないものは排除されるのだ。近代合理主義に基づく目的のはっきりしたものしか受け入れられないのだ。俺はそういう体制を打ち崩して………」長くなるのでやめますが、革命的デザイナーのつもりの僕はそんなことを考えていました。

あるとき、そういう僕におあつらえの仕事が回ってきました。

新宿中央口クインビーという、かなり広い店が新規開店することになり、ちょうどその頃万博が開催されていたので、催し物のテーマを「お色気万博・世界の国からコンニチワ」にしようということが決まったのです。新規開店の店なので力を入れて、日本館とかアメリカ館とかフランス館とかのブースをベニヤで作り、写真を貼ったり万国旗を張り巡らせたりして国際色豊かにしようと、まあそういうことになった訳です。

万博のシンボルといえば、岡本太郎の太陽の塔です。その太陽の塔に見合うようなクインビーの塔のようなものを中央に置こうと、そういう方向に話が進み、僕がそのシンボルを作る役をさずかったのです。

このときは、クインビーに入って初めてというほど燃えましたね。太陽の塔に見合うものは何か、あれこれ考えました。

キャバレーに来るお客さんは、ホステスさんがいるから来るのです。ひょっとしたらホステスさんとデートでき、うまくいったらホテルにでも連れ込んで……と妄想が膨らみ、ふと気付くとチンコが立っている。そうだ、勃起したチンポコの塔を作ろう。そう考えたのでした。

エロいものはOKなのですが、リアルなチンポコとなると課長にどう言われるか心配だったので、その辺は曖昧にしておきました。もし何か言われたら、チンポコ御神輿を担いだりするお祭りなどもあるので、そういう縁起物、しかも祭り感もあるとか言おうと思っていたのですが、結局何も聞かれませんでした。しかし、課長に見えるところで作ると何か言われそうなので、普段使わない階段の踊り場で作業することにしました。

まずベニヤ板を丸めて竿の部分を作ります。亀頭の部分は発砲スチロールの固まりを削って作りました。1週間ほどかかって、高さ2.5メートルほどのチンポコの塔が完成しました。それに蛍光ピンクのペンキを塗ると、結構なまめかしいものになりました。

そのチンポコの塔を他の作り物と一緒に車に乗せ、新宿中央口クインビーに運び、ダンスフロアの真ん中に設置しました。設置が終わって営業用の照明に切り替えると、ブラックライトに反応してピンクのチンポコがビカッと浮かび上がり思わず息を飲みました。周りのみんなも「すごい」とか「本物みたいだ」とか言っているので嬉しくなりました。

チンポコの塔完成の歓びに浸っていると、店長が出勤してきました。「ごくろうさん」と言って僕らをねぎらってくれたのですが、チンポコの塔を見るや「これ、マズいんじゃないかなあ」とか言い出しました。「警察が来たら、ワイセツで呼ばれるかもしれないぞ」とか言っています。そして「おい、大きな風呂敷買ってきてくれないかなあ」と、マネージャーに言います。

結局チンポコの塔は、警察が来たときのために、唐草模様の大きな風呂敷で覆われることになりました。僕はちょっとガッカリしたのですが、それから半月ほどして、ホステスさんが風呂敷を被せられたチンポコの塔を拝んでいるという情報が入りました。なんでも、チンポコの塔を拝むと指名が取れるのだそうです。

その話を聞いて、僕は神様を作ってしまったような気持ちになりました。


「ハルさんちのハンドメイド~大きな手小さな手」第十六回 池田ハル

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イラストレーター池田ハルが娘さんと一緒に作る楽しいハンドメイド!!

「ハルさんちのハンドメイド~大きな手小さな手」第十六回 池田ハル

  • 空き箱をつかってスイーツなメッセージボードを作ろう!
  • 初PASMOでおでかけ、PASMOケースとピアニカケース。
  • 竹とんぼを作ろう@ハチラボ
  • 目黒原町教会にて、S先生のワークショップへ参加。
  • 日記マンガ「一年生の毎日」。

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一年生の毎日は忙しいです。放課後もそれぞれにクラブや習い事、宿題などがあって、待ち合わせて遊ぶのにも要相談です。だから、小さいワークショップを色々と考えてみましたよ。あまっているものでカンタンに出来ること。素材はあれですよ、あれー。

あれほど集めていた空き箱やトイレペーパーの芯など。幼稚園の頃はヒマさえあれば夢中で工作していたのに、この頃あまっているのです。部屋の片隅 に積み上げられて。もうこれで遊ばないの?捨ててもいいの?ちょっと思い出してみる?!

空き箱をつかってスイーツなメッセージボードを作ろう!

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ペットボトルのフタを折り紙で包んでチョコレート作り。この日のオヤツは箱入りのアイスクリームにして、その空き箱に並べてみましょう。トッピングにビーズや貝がら。(この貝がらは先日江ノ島で取って来たものだよ)カラペを丸めてもいいし、カラーセロファンも透明できれい。絵の具で塗ってみる。お弁当のアルミカップは5号がピッタリのサイズ。いらっしゃいませ、チョコレート屋さんです!!しばらくはごっこ遊びタイム。小さく盛り上がりました。

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上のチョコレート屋さんを2回作って、本番のワークショップでは「空き箱をつかってスイーツなメッセージボードを作ろう!」という事で、空き箱 を三角形に+デコボコ画用紙を使ってショートケーキに、ホワイトボードを組み合わせてみました。おなじみの2年生2人とママさんたち、ご近所の3年生のお姉ちゃんと娘さんとで作りました。

今回、素材は持ち寄り企画にしたので色々と面白いものが集まりました。皆さんにいつも感謝です。
グラスと羊毛を組み合わせたビールやワインが楽しい~!お疲れさまなパパさんたちへ捧ぐー、父の日仕様でした。大人の事情ですみません。

娘さんは自分の通う小学校名をどうしても書きたいと(一部カツアイ)。一方のお姉ちゃんは、おばあちゃんへのプレゼントにするから何も書かなくていいそうです。
先月から小さく作ってきたものたちを集合させて、中くらいに盛り上がりました。帰ってからも思い出して時々遊んでいます。ボードは日々のちょっとしたメモなどに使ってもらえるといいかなと思います。

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最初のチョコレート屋さん。素材いろいろ。

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あじさいの花のつもりで作りましたが「ぶどう」だといわれました。

初PASMOでおでかけ、PASMOケースとピアニカケース。

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新学期のお仕事、必要なものを作らなくては。
これまで交通費もほぼ無料だった訳ですが、小学生からはこども料金がかかるのです。とりあえず、PASMOが必要。なくさない様にケースも必要。ついでにわたしもしょっちゅうなくすのでケースを作りました。快適!
これ、昨年末の「おみくじクッキーWS」の時にテーブルに敷いていた生地なんですよ。それから、水入れの下にいつも敷いているビニールを組み合わせました。バイアステープもランチョンマットの残りです。

同様にピアニカケースもすべて残り生地で作りました。
撮影の日は雨降り、以前から気になっていた「金魚カフェ」へ行くことに。快く撮影許可もいただきました。ここは編集者さんのブログにも時々登場するギャラリーカフェです。多分、マンガでもここをモデルにしたのでは?と思われるお話を読んだことがあります。作家さんの作品に囲まれて、しばし休息。FireKingの器が素敵、パンケーキも美味しかったです。
学生の頃にこんなカフェで展示が出来たら楽しかっただろうなぁと思いました。今からでも出来るといいですね。

竹とんぼを作ろう@ハチラボ

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ゴールデンウィークのハチラボへ。100円ワークショップで竹とんぼを作りました。
渋谷のおじいちゃんたちが子供たちのために開かれている講座。準備が大変だったと思いますが、和紙の飾りもチャーミング。よく飛びますよ~!わたしの祖父を思い出すような懐かしい手仕事でした。ありがとうございました。
他にも様々なワークショップが開催されている施設で、プラネタリウムもあります。

目黒原町教会にて、S先生のワークショップへ参加。

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こどもの城でお会いしたOさんが目黒にて子育てサークル「ワラビーキッズ」を立ち上げているとの事。同じく造形スタジオにてお世話になりました、S先生のワークショップへ参加するため行って来ました。目黒原町教会へ。
スタジオは元々幼稚園だった場所で心地よい空間です。小さな靴箱や棚は当時の仕様のまま、2階には今でも礼拝堂があります。

この日のお題は親子参加で新聞紙を棒状に包むもの。三角を結びながら多面体を作って行く、まるで北欧の雑貨「ヒンメリ」のようではありません か~。巨大なヒンメリと化したスタジオで内でこどもたちと遊びました。紙の宇宙人も登場したり、想像以上に面白かったです。

不要品を利用した造形にもこんな事が出来るんだなぁということ。それから、こどもが大きくなるに連れて親子参加で楽しめる企画がそれほどないので、こういうことこそもっとやりたい!と思いましたよ。
Oさん、S先生ありがとうございました。

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日記マンガ「一年生の毎日」。

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先日、母の日にはじめてカーネーションをもらいました。
昨年の今頃に作った貝がらの花瓶に飾りました。ピッタリ!

今日はここまで。

池田 ハル プロフィール

福岡生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、古着屋店長、デザイナーなどを経てフリーランス。イラストレーターとして女の子の企画を中心に活動中。ハンドメイド好きな一児の母親でもある。
「小さな手が大きくなるまで一緒に手作りできたらいいなぁ♪」

HALNOTE.COM
http://www.halnote.com

「プロレスエンジョイダイアリー」第2話 鈴木詩子

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鈴木詩子のプロレスエッセイマンガ。

プロレスを知って変わったマンガ家・鈴木詩子さんの心情などをつづるプロレスエッセイマンガ。

【鈴木詩子】
】 2007年「真夜中の青春」にて第九回アックスマンガ新人賞佳作受賞。著書に『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)がある。 「もえプロ♡女子部」マネージャー http://moepro.jp/ブッチNEWSで『鈴木詩子の新日本プロレスにハマって…♡』連載中 http://bucchinews.com/keywords/鈴木詩子/

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田中六大マンガ劇場第十回「キツネ、UFO、そして、カラアゲ」

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マンガ家、絵本作家として活躍する田中六大氏が毎回自由に描くwebマンガ。

マンガ家、絵本作家として活躍する田中六大氏が毎回テーマもページ数も自由に描くwebマンガ連載。 田中氏がどんな世界を見せてくれるのか? どうぞお楽しみに!

【田中六大】
1980年生まれ。多摩美術大学大学院修了。あとさき塾で絵本創作を学ぶ。 第7回アックスマンガ新人賞佳作。第50回ちばてつや賞佳作。第5回ますむらひろしコミック大賞受賞。

【著書として】
・漫画
クッキー缶の街めぐり(青林工藝舎)
・絵本の作・絵
でんせつのいきものをさがせ!(講談社)
・絵本の絵
だいくのたこ8さん(作・内田麟太郎/くもん出版)、しょうがっこうへいこう(作・斉藤洋/講談社)、ねこやのみいちゃん(作・竹下文子/アリス館)など
・児童書のさし絵
音楽室の日曜日(作・村上しいこ/講談社)ひらけ!なんきんまめ(作・竹下文子/小峰書店)願いのかなうまがり角(作・岡田淳/偕成社)など
http://www.rokudait.com/

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「ノドの迷路」第13回 逆柱いみり

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『アックスVol.94~Vol.100』に連載された作品の続き。

『アックスVol.94~Vol.100』に連載された作品の続き。ノドのあたりが変になってしまった同級生を連れて保健室に行ったが、ヤブ医者の手術で形が奇怪に変わってしまった同級生を、人間の形にもどすために二人は迷路のような町を歩き回るのだが…。

【逆柱いみり】
月刊漫画「ガロ」1989年10月号に「くじら」その他短編で入選。その後『ガロ』『アックス』などで作品を発表。著書として『ネコカッパ』(河出書房新社)『赤タイツ男』『空の巻き貝』(青林工藝舎)などがある。
漏電銀座裏通り http://d.hatena.ne.jp/nkpmkp/

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「ロマンガロン」第11話 まどの一哉

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ベテラン・まどの一哉が、なんとロボットマンガの長編に挑む話題作!

ベテラン・まどの一哉氏が、なんとロボットマンガの長編に挑む話題作! これまでもお伽噺等をベースにSF色強い作品を描いていますが、この空想、実はもうひとつのリアリズムを表現しているのです。 コミカルな仮面の下に隠されたまどのマジックを新連載「ロマン・ガロン」でご堪能下さい!

【まどの一哉 】 1956年生、大阪府出身。美学校絵文字工房(講師・赤瀬川原平)卒。 1976年、月刊漫画『ガロ』12月号にて「運命の男」でデビュー。その後『クイック・ジャパン』等で作品を発表。 2006年より『アックス』で意欲的に作品を描き、現在オンラインマガジン『電脳マヴォ』にて「三角帽子」を連載中。

まどの一哉「絵空事ノート」http://esoragoto.iga-log.com/「電脳マヴォ」公式サイト http://mavo.takekuma.jp/

著書として『洞窟ゲーム』『世の終わりのためのお伽噺』(青林工藝舎)、『西遊記』(ワイズ出版)がある。

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「もちが焼けたよ」 第11回 筒井ヒロミ

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餅になったおじいちゃんと一緒に暮らす大河くん、えっ、どーなっちゃうの!?

「おじいちゃんがモチになっちゃったんだよ」
「最近はやってるんだよ、高齢者のモチ化。でもまさかウチもなんてね…」
「モチなら食べてしまえばよいではないですか!」
「そうはいかないよ、一応おじいちゃんなんだから…」
モチになってしまったおじいちゃんと暮らす大河くんとその周辺のお話「もちが焼けたよ」が
4コマ漫画になって放電横丁に登場です。どうぞお楽しみに!

【筒井ヒロミ】
1977年生まれ。2009年、32歳で会社を辞めて漫画の持ち込みを始める。
第13回アックスマンガ新人賞・南伸坊個人賞受賞。
○著書『トロミちゃん THE TOROBAKO GIRL』(青林工藝舎)
○ブログ http://nya-nya-studio.com/

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「ほっかほっか電信」 第1回 永井ミキジ

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誌面で連載中「ベンチウォーマーズのほっかほっか通信」の裏話をお届け!

「ほっかほっか電信」 第1回

「ほっかほっか電信」 第1回 永井ミキジ

かれこれ「ベンチウォーマーズのほっかほっか通信」を連載させてもらってから数年。毎号誌面ではお届けできなかった裏話をメンバーの永井ミキジがこちらで書かせていただきます。

今号(105号)はアックスの特集枠を使わせてもらったベンチウォーマーズのほっかほっか通信拡大版「タクシードライバー年鑑2015」でした。本当なら今号は昨年に引き続き「食ってる人のカレーガイド2015」の予定でした。この時期グルメ雑誌はカレー特集が多くなるので、どの雑誌よりも早く、どの雑誌も追いついてないキレたカレー情報を発信したいので毎年6/25発売の号はカレーだ!と去年からメンバーの島田真人(通称カレーの島田)とも話してたのですが、今までずっと企画ネタが横入りしてメンバーの成田敏史がやれなかったタクシードライバーにインタビューする連載「前乗り」のネタが充分あったので、カレーは次号にして、この特集のタイミングで16pドカンとやる運びとなりました。冒頭から知らないおじさんの顔写真が出てきてビックリしたかと思いますが掲載した3人の個人タクシードライバーさんは本当の現役ドライバーさんです。

今号の為に成田くんは日本全国の名物個人タクシードライバーを探し回り、あちこちでインタビューしたようです。インタビューの方法は簡単、タクシーに乗って人生相談した後、これだ!という方に降りる際、事情を説明し掲載許可をもらうというもので、今回の特集はあのドライバーやあのドライバーにも……と思いをめぐらせていたらしいのですが、顔写真、集会ルート、携帯番号などなどアックスを読めばその人をすぐに呼べるようにしようとハードルをあげたこともあって「顔写真はな……」となかなか最後の最後でOKを出してくれるドライバーさんがおらず、数ヶ月タクシーに乗り続けた成田くんの財布はどんどん薄くなっていったそうです。

わざわざ乗らなくても個人タクシーの事務局的なところにいけばいいんじゃないの?というと「お金を出してこそ聞ける話があるんです!」と成田くんのピュアなまなざしが今も脳裏に焼き付いています。とはいえ今回は締め切りもあるし大丈夫なんだろうか……と少し心配してたある日「ミキジさんが前に話してた『お金がないっていってる間はまだまだコレクターとしては3流』って言葉をかみしめながら今日もタクシーに乗ってます!」という病んだメッセージがきて、次号はいい特集になりそうだと思ったのでした。

結局、締め切りギリギリまで粘った末、顔出し&手隠し状態ならOKという男気を見せてくれたのが誌面に登場するドライバーさん達です。この場をお借りしてありがとうございました。この3人がいなければこのネタは完成しなかったので大変助かりました。一人だけ諸事情により顔出しNGのため手で顔を隠してもらったのですが、もう少し隠し方があっただろうとポーズを指示した成田君の性的な深層心理が垣間見えてこれも後々味わい深くてイイと思いました。

そしてそして最後の最後で登場したお東陽片岡先生、成田くんが緊張の面持ちで「タクシー運転手の制服を着てですね……」という趣旨の説明に「いいですよ」と即答して頂きました。後に成田君から聞きましたが撮影の前に衣装の話をしたら「あっ(タクシードライバー風なものを)持ってますから大丈夫です」という返事が来たそうです。当日「運ちゃんがはくサンダルもありますんで、はい」とサラリーマンごっこでならしたお東陽先生だけあって運転手にしか見えない格好に成田君も「完璧ですね…」と声をもらしてました。

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この写真は最後まで悩んだ1枚、ベストショットは誌面に掲載してます!(撮影: 成田敏史)

というわけで次号は満を持してカレー特集になります。去年メンバーの島田さんが1位にあげた四谷三丁目のお店はアックス発売前に閉店するという奇跡がおきました。そのお店はネットではほとんど紹介されることなくオープンして数ヶ月で静かに閉店したのですがカレーはすごく美味しかったです。お店を継続するというのは味以外に色々なバランスがあると思うのでその店主はきっとまた新しいお店であの美味しいカレーを出してくれると願ってますが、昨今は間借りをして経営するスタイルが人気だったり味以外の話もする予定です。

カレーの島田さんが最近行って美味しかったというインド料理店の店名をネットで調べると「向かいにお店ができたので早速ランチ、なんだか不思議な味♡ほかにもメニューがあるみたいなのでまたトライ!」という美容院の店員のブログしかヒットしませんでした。昨年も登場してもらったらライターの井上ダイスケさんが最近行った店は週末のみカウンター8席で女店主自らが狩猟して捕まえた鹿肉を使ったエゾ鹿のカレーで僕も食べに行きましたがとても美味しかったです。

この情報でも数ヶ月前の話です。すでに彼らは新規開拓をしていますので楽しみにしておいて下さい。

永井ミキジ

永井ミキジ プロフィール

グラフィックデザイナー・アートディレクター
http://www.mikiji.tv/

あらゆるジャンルが集まった集団ベンチウォーマーズのデザイン担当。メンバーは永井ミキジをはじめアックス作家の堀道広、齋藤裕之介、イラストレーターの菱沼彩子、ライターでありカメラマンの成田敏史、編集担当のビキニライン、カレー担当の島田真人の7人で構成。


「ハルさんちのハンドメイド~大きな手小さな手」第十七回 池田ハル

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イラストレーター池田ハルが娘さんと一緒に作る楽しいハンドメイド!!

「ハルさんちのハンドメイド~大きな手小さな手」第十七回 池田ハル

  • マーブリングと泡の模様でうちわと夏の小物を作ろう!ワークショップ。
  • 日記マンガ「一年生の夏休み」。
  • 少し遅れた父の日のプレゼントのこと。
  • あたらしいとミシン古いミシンのこと。
  • オマケのブローチ。

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残暑お見舞い申し上げます。

マーブリングと泡の模様でうちわと夏の小物を作ろう!ワークショップ。

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涼し気なワークショップからレポートします。まずはマーブリング(墨流し)からー。

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顔料インクをいろいろな素材にマーブリングしてみましたが「水墨画用半紙」を使ったものが色鮮やかに仕上がりました。
水とインクを替えながらいつまでも作っていられる面白さ。封筒と合わせてレターセットにいかがでしょう。

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それから、もう一つ。サランラップ芯の先にカーゼをくっつけて作った棒に、絵の具を洗剤で溶いたものをつけて吹き飛ばします。するとー

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筒の先からモコモコ…あわあわ…と絵の具が出てきて、あわの模様が出来ました!!うちわや画用紙、木綿、水墨画用半紙などにあわあわ~。

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わぁ!マゼンタとグリーンのあわが混ざったよ、どうなる?

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木綿の手作りハンカチにもあわあわ~。

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キレイですよねー。これ、娘さんの幼稚園の先生から教えていただいた方法なのです(ありがとうございます)すごく楽しいですよ!親子で盛り上がりますー。

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マーブリング+あわあわの模様でこんなにいろいろ出来ました。

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試作品の扇子、失敗作もありました。見た目キレイなのですが、仕上がりは扇子として使えませんでした。元からパーツ別に作ると良いと思いますよ。

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学校から持ち帰った朝顔の花。こちらもキレイなマゼンタ色でした。

日記マンガ「一年生の夏休み」

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一年生の夏休みは忙しいです。 朝は6時起床のラジオ体操からはじまり、宿題、放課後、水泳指導、ダンスの発表会、そしてお祭りとー。
途中、ママのアートスクール(娘さん曰くの)ハルさんち~の試作を2、3回。本番のワークショップでは、お友だちと準備から賑やかに約3時間の制作。
それから、S先生の造形~夏休み特別クラスは5時間かけて「惑星儀」をつくり造形宇宙冒険へと旅立つ!
この夏もオトナへの階段をかけ登っているなと思います。がんばれっ!!でも、さすがに疲れた様子…。そろそろひと休みしましょう。

あと、制作はやっぱり準備から片付けまで2時間位かなと思います。大人でも疲れますもんね。集中力をフルに楽しめる範囲でゆきましょう。何度作ってもそこから学ぶことがありますねぇ。
今回もケガもなくみんなで楽しく制作をすることが出来ました。皆さまありがとうございました☆
ハルさんちも暫しサマータイムであります。

少し遅れた父の日のプレゼントのこと。

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先日、少し遅れて父の日のプレゼントが完成しました。実家のダイニング椅子のサイズに合う様に座布団を2組作りました。
花柄の方は残り生地。青い生地はステンシルでトントン模様も作りました。おじいちゃんにはちょっと可愛いすぎたかな?

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「あにゅーしゅかZINE」のブックカバーにもステンシルで模様を作りました。

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あたらしいミシンと古いミシンのこと。

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先日、学生の頃から使って来たミシンをとうとう処分しました。
国分寺の小さなミシン屋さんで両親と散歩の途中に見つけて中古で買ったもの、旧式シンガーのSTYLISTでした。重くて古~いものでしたがデザインが気に入っていました。(上の写真~hal9000のカメラ・アイみたいでカッコイイでしょ?!)
そして、あたらしくミシンを買いました。新宿のオカダヤ屋さんへ何度も通って、あれこれ話してやっと決めました。マシンが新しいとすこぶる快適です。
これから大事に大事に使うのです。

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余談ですが、CUTIE休刊。とってもさみしいな。トンガリ・マザーズでゆきましょうか。
エプロンも作ってみました。

おまけのブローチ。

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娘さんが折り紙の金色と銀色を使って何か作っていました。『後ろにブローチの留め金をつけて』と言うのでつけてあげました。ボンドが乾いて完成。早速うちのブローチ棚(たくさんある)へ飾り付けていました。鍛えられているなぁと思いました。日々の工作からー。
暑さが続きますが、皆さまおからだをご自愛ください。

今日はここまで。

池田 ハル プロフィール

福岡生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、古着屋店長、デザイナーなどを経てフリーランス。イラストレーターとして女の子の企画を中心に活動中。ハンドメイド好きな一児の母親でもある。
「小さな手が大きくなるまで一緒に手作りできたらいいなぁ♪」

HALNOTE.COM
http://www.halnote.com

「肯定マン」第5話 ジェスロマル

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『アックスVol.98、Vol.100、Vol.102』に掲載された「肯定マン」シリーズ続編。

『アックスVol.98、Vol.100、Vol.102』に掲載された「肯定マン」シリーズの続編。困っているところに駆けつけ、どんなものでも全力で肯定してくれる正義の味方(?)肯定マンが大活躍……!?

【ジェスロマル(jethllomaru)】

第16回アックスマンガ新人賞駕籠真太郎個人賞受賞(「肯定マン」)。自身のホームページなどでWeb漫画(「呪ウーマン」)を連載中。

http://www.jethllomaru.com/

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「もちが焼けたよ」 第12回 筒井ヒロミ

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餅になったおじいちゃんと一緒に暮らす大河くん、えっ、どーなっちゃうの!?

「おじいちゃんがモチになっちゃったんだよ」
「最近はやってるんだよ、高齢者のモチ化。でもまさかウチもなんてね…」
「モチなら食べてしまえばよいではないですか!」
「そうはいかないよ、一応おじいちゃんなんだから…」
モチになってしまったおじいちゃんと暮らす大河くんとその周辺のお話「もちが焼けたよ」が
4コマ漫画になって放電横丁に登場です。どうぞお楽しみに!

【筒井ヒロミ】
1977年生まれ。2009年、32歳で会社を辞めて漫画の持ち込みを始める。
第13回アックスマンガ新人賞・南伸坊個人賞受賞。
○著書『トロミちゃん THE TOROBAKO GIRL』(青林工藝舎)
○ブログ http://nya-nya-studio.com/

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「ノドの迷路」第14回 逆柱いみり

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『アックスVol.94~Vol.100』に連載された作品の続き。

『アックスVol.94~Vol.100』に連載された作品の続き。ノドのあたりが変になってしまった同級生を連れて保健室に行ったが、ヤブ医者の手術で形が奇怪に変わってしまった同級生を、人間の形にもどすために二人は迷路のような町を歩き回るのだが…。

【逆柱いみり】
月刊漫画「ガロ」1989年10月号に「くじら」その他短編で入選。その後『ガロ』『アックス』などで作品を発表。著書として『ネコカッパ』(河出書房新社)『赤タイツ男』『空の巻き貝』(青林工藝舎)などがある。
漏電銀座裏通り http://d.hatena.ne.jp/nkpmkp/

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「流れる雲のように」 第12話 末井昭

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高校卒業し出版界に入るまでの苦悩と葛藤を描いた連載小説! 挿画/東陽片岡

「流れる雲のように」 第12話 末井昭

12. 日本万国博覧会

新宿中央口クインビーの「お色気万博・世界の国からコンニチワ」は、いまいち盛り上がらなかったようで、短期間で終わってしまいました。店内に飾ったデコレーションは渋谷の東京都児童会館に寄付したそうです。寄付といっても、果たして児童会館がそれを喜んだかどうか。その中にチンポコの塔があったかどうか定かではありませんが、あったとしたら児童会館はどう思ったか。「こんなものを!」と怒ったか、キャバレーだから仕方がないと思ったか。いずれにしてもチンポコの塔が児童会館に運ばれたことを想定して、一人であれこれ想像していました。

盛り上がらないお色気万博に比べ、大阪の千里丘陵で3月から開催されている万博のほうは大盛況のようでした。

高度経済成長を遂げ、アメリカに次ぐ経済大国となった日本を象徴する国家プロジェクト、日本万国博覧会。著名な建築家や芸術家、デザイナーが起用され、横尾忠則さんや粟津潔さんも参加していました。しかし、『デザイン批評』の編集委員でもある反体制的デザイナーの粟津さんが万博に参加していることに、何か腑に落ちないものがありました。造反有理の反体制小僧としてはもちろん万博に反対でしたが、日本の中枢のクリエーターを集めていったい何が行われているのか知りたいという好奇心で、万博を見に行くことにしたのでした。

大阪には弟が住んでいました。弟は某大手カツラメーカーのセールスマンをしていて、その会社の寮に住んでいたので、そこに泊めてもらうことにしました。

弟と会うのは3年振りでした。弟は僕が高校を卒業したと同時に中学を卒業し、大阪で働いていたのですが、1年後に岡山に帰り、一人で下宿して高校に通い、卒業してカツラ屋に勤めたのでした。

弟はカツラのセールスマンですが、頭髪の薄い人を見つけて「あのぉ、いいカツラがありますよ」とか言って営業するわけにはいきません。訪問販売もダメです。まずは広告を出して、蜘蛛が巣にかかる獲物を待つように、広告を見て来る客をじっと待つのです。ひと頃テレビなどでやたらカツラ屋の広告が多かったのはそのためです。

弟が事務所で電話が来るのをじっと待っています。すると電話がリーンと鳴り、弟は電話を取ります。女の人からの電話です。「うちの子やけど、頭がハゲてもうてな、家から出ないんやわ。うちの子に被せる何かええカツラないやろか」みたいな内容です。つまり、その女の人の息子は若ハゲで、女の子にモテないのも、内気なのも、学校の成績が悪いのも、自分のマイナス部分は何もかもハゲのせいにして、家に引きこもっているわけです。弟は「わかりました。すぐお伺いします」とか言って、住所と電話を聞いて出かけます。カツラのセールスマンはこれからが仕事です。

カツラの見積もりを出すには、まずハゲた部分の面積を計算します。そのためには、メジャーでハゲた部分の寸法を測らないといけません。弟はカバンからメジャーを取り出し、母親に案内されて息子の部屋に行きます。ドアを開けると、いきなり物が投げつけられました。怪我はしなかったものの、カツラの営業は命がけです。ここで息子を取り抑え、無理矢理ハゲの面積を測る、というわけにはいきません。何回も通い、カツラがいかにいいかという説明をし、息子と気持ちが通じ合うまで頑張ります。そして、ついに息子のハゲの面積を測定することに成功します。

ところで、カツラの値段というものは、思った以上に高いものだそうです。弟は息子のハゲの面積から計算して見積書を作り、母親に渡します。その見積書を見ていた母親は、思ったより高いと思ったのか「少し考えさせてくれませんか」と言います。そして4、5日経って、その母親から「あのぉ、今回の件はないということで」という断りの電話が入ります。このときの弟の捨て台詞です。「お前の息子は一生ハゲでいろ!」ガシャン!

ガシャン!は電話を切る音です。結構恐いですよね。でも、兄弟だからかばうわけではないのですが、弟は息子に物を何度もぶつけられ、かなりのストレスを抱えながらやっと見積もりまでこぎつけたわけです。最後の捨て台詞は、僕はカッコいいと思いました。

まぁ、そういうヤクザな仕事をしている弟の部屋に泊まり、翌日、新大阪駅で東京から来るM子と、その頃は岡山に帰っていた父親と待ち合わせして、万博を見に行きました。万博見学のついでに親孝行でもしておこうという魂胆です。

万博会場に行ってまず目についたのは、岡本太郎の太陽の塔です。チンポコの塔とは比べ物にならないくらい(当たり前ですが)巨大な塔で、なかなか見応えがありました。横尾忠則さんがデザインした、工事を途中で凍結した状態のせんい館の外観もカッコいいと思いました。「死の観念は死に至るプロセスの中に含まれる。完成することは死を意味しているのである」と横尾さんは言っていて、それを表現したもののようでしたが、大方の人は「ああ、工事が間に合わなかったんだな」と思ったようです。

あとはもうすべてがガラクタのように見えて、感動したものは何もありません。なんだか、やたらと館内に映像が映されていた印象だけが残っています。

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イラスト: 東陽片岡

東京に戻ると町が騒がしく感じられました。6月に日米安保条約が自動延長されるので、それを阻止する学生たちの街頭闘争で町は騒然としていました。しかし、6月23日に安保条約はあっさり自動継続になってしまいました。

僕はその日の夜、上野クインビーで青山ミチのステージを観ていました。1963年に「ミッチー音頭」がヒットして有名になった黒人との混血歌手です。月に1回は往年の歌手が営業で上野クインビーに来ていましたが、青山ミチはそれまでの歌手とは違っていました。キャバレーのステージなのに、本気で一生懸命歌っているのです。「叱らないで」を聴いたとき思わず涙が出ました。それはセンチメンタルな涙なのですが、学生たちがあんなに反対運動をしても体制が何も変わらないという虚しさもあったかもしれません。そしてその虚しさは、僕自身の問題とも関係がありました。

仕事は相変わらず、車内刷りポスター、外撒きチラシ、新聞折り込みチラシ、浴場ポスターなどのデザインをやっているのですが、仕事に力が入らなくなっていました。自分の考えていることとやっていることが、どうにも一致しないのです。

そんなとき、目黒クインビーの店長からチラシを作って欲しいという電話がかかってきて、僕が打ち合わせに行くことになりました。

「今度さぁ、おらが国さのオシンコ祭りってのをやりたいんだけど、チラシ作ってくれる?」と、眼帯した店長が言います。上野クインビーのようなステージのある大箱の店ではなく、薄暗いピンクサロンのような小さなお店です。メモを取る僕に、店長は「オシンコ祭りのところをオ○ンコ祭りにしたら面白いよね」と言います。

僕は何か大きな勘違いをしているような気がしました。何がアンチモダニズムだ、何が情念のデザインだ、ただ自己表現したいだけじゃないか。キャバレーはキャバレーでしかないのだ。気がつくのが遅いといえば遅いのですが、眼帯の店長と打ち合わせしていてそう思ったのでした。

眼帯の店長は、おそらく客とトラブルになり、目のあたりを殴られたのだと思います。みんな体を張って働いているのです。ホステスさんだって客とのトラブルは日常茶飯事なのに、笑顔で客に接しています。青山ミチだって、キャバレーなのに手を抜かず一生懸命歌っているのです。

隅でお客を待っているホステスさんをチラッと見ると、その中の一人と目が合いました。店長が「遊んで行く? 時間あるんでしょう」と言います。僕は「いや、仕事があるんで」と言って店を出ました。

外は雨でした。自分はこの先何を指針にデザインすればいいんだろうと思いながら、雨の中を歩いていました。

「泥船人生相談」第1回 幻の名盤解放同盟

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幻の名盤解放同盟がお悩みの泥沼から真理の大海へと解放致します!

「泥船人生相談」第1回 幻の名盤解放同盟

――平等に聴く耳を持て。悩みに貴賎はない。同情も同調もいらぬ。――
人間の“生”の 現われである“悩み”を底辺から集め、既存のあらゆる倫理/道徳、価値体系の泥沼にはまったあなたを幻の名盤解放同盟が真理の大海へと解放致します。

■メイン回答:船橋英雄/一コマ漫画回答:根本敬/音盤回答:湯浅学
(毎月1回更新)

「泥船人生相談」 幻の名盤解放同盟

~前口上~

わざわざ穴を空けることはない、荷を積み過ぎることもない、泥舟に。

脱出したってだめ。飛び込んだそこも泥。ありとあらゆるゴミが流れ行く泥川。すがるものなどありゃしません。そんなに生き急ぐことはないよ。

でっかい大五郎の土左衛門(4Lの空ペットボトル)に首尾よくつかまれたとしても、さて、どうする? どうにもなんねぇってば、プカプカ浮いてるだけだよ。流木をオール代わりに漕いだってどこへも行けやしない。その板切れが卒塔婆だとしても何の象徴でもない。助け舟は来ない。洲も陸もない。そもそも目的地がない。海に出りゃ一面の泥、見上げりゃ満天の泥。

人生、どろんこ遊び。あてがわれた一艘を舞台と見て歌い踊るもよし、ウォーターベッドとして泥のように眠りこけるもよし色欲に溺れるもまたよしだ。居もしない敵と泥仕合を演じているヒマはない。悩むな。

「ボクも脱ぐからキミも脱ご? さあ、一緒に脱ごう」と言って教え子の女子生徒を裸にしたことがバレて逮捕された教諭がいたが、「脱げ」を「一緒に脱ごう」に換言して脅迫、犯罪の消臭を図ったワザにちょっと感心したっけ。学習や部活の指導において「やれ」という命令調よりも友達めいた横並び感覚を伴う寄り添い調の言葉の方が効果的とは斯界の常識らしく、野郎はそれをセクハラに応用したってわけ。当欄も拝借。「さあ、一緒に悩むのをやめよう」。

(幻の名盤解放同盟社長・船橋英雄)

相談其の1(67歳 男 自営業)

仕事が忙しくて何をするにも余裕がありません。本当に好きなことをやっていない生活は苦しい。お金は入って来ますが疲れました。ただ人に動かされているだけの毎日で生きてる実感がありません。お金はあるけれど不自由な生活とお金はないけれど自由な生活、どちらが人間にとって真の幸福と言えるでしょうか。

メイン回答船橋英雄

金は魔物っていうから俺はずーっと逃げたり隠れたりしてきた。しかし振り返ってみれば、先様が襲ってきたためしはない。手招きもウインクのひとつもしたことはないんだよね。よって、自由な時間を奪われるほどそやつにがんじがらめにされたり押し潰されたりしている者の苦しみは理解できません。

ま、どうあれ金も泥。泥貨、泥幣。泥銭だ。自分は1ドロ=230円程度だが、80万円の人がいれば1千万円の人もいるでしょう。レートは各人各様。生活のあんばいはまちまち。それだけの話。

で、相談者はどれくらいの泥銭を手にしておられるのでありましょうか。文面からすると相当なモンと推察いたします。仮に1億自由にできるのであれば、株を購入してください。大好きな会社、お世話になった会社にドンとつぎ込んでください(例えばジゴロならオカモトとかサガミとかがよろしいかと)。

生身の自分が自由に動けないのであれば分身たる金に動いてもらう。大好きな会社、お世話になった会社に自由に使ってもらう。応援、成長の手助けをするわけ。

ギャンブルにおいて金は明滅する点にすぎませんが、株なら時々刻々と変化する線、ビビッドな生の実感をもたらしてくれます。配当を得られるし、大損したとしても一心同体の会社のためだったと思えば惜しくない。労働意欲がかき立てられ、今現在の仕事に新たなやり甲斐を見出せるやもしれません。

あなたを救うのは株!自由と幸福の障害になっている重したる金に羽を与えたまえ。脇目も振らず飛んで行きたい先が一社があるでしょ?そうそう、その会社。大量買いといきましょう。待ってますよ、みんな。

一コマ漫画回答根本敬

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音盤回答湯浅学

そもそもこの二者択一がまちがっている。お金があってひまなのが一番いいにきまっている。それを何故あなたは目指さないのか。なにかやましいことがあるのか?お金があるだけで人に妬まれる、嫌われる、誹られるとでも思っているのではありませんか?ビンボーのほうがお金持ちより楽だ、と心のどこかで思っているのでしょう。あなたはもともとはビンボーな方だったのだと思います。だからお金があること、お金持ちの状態がなんだかんだいって身につかないのでしょう。

その特性、性分をなんとかしろとはいいません。お金はあるほうがいいにきまっている、と思い込んで下さい。そして忙しいよりひまなほうが世のため人のためなのだ、と考えながらお金を使って下さい。持っているだけで使わないお金は幻と同じです。だったらときどきビンボーなのに子沢山の家やいくら働いてもお金が足りない家庭のポストにポンと札束の1つや2つ入れたらよいでしょう。

そうすれば少しは気も晴れます。やってみて下さい。そのためには頭を空にする必要があります。ノイズにまみれてみることをお勧めします。

相談其の2(19歳 男 学生)

アパートの隣りに住む62歳のババア(独身)にモーションをかけられて困っています。そのババアは歳のわりに色気があり、時々クラッとしてしまうこともあります。ババアを傷付けずに断るいい方法はありますか?

メイン回答船橋英雄

断われないんじゃない?キミの中に入っちゃってるもん。尿道三丁目あたりを夜となく昼となく往ったり来たり、追っ払っても追っ払ってもチン入してくる。悩ましい、これが問題の核心。

一片の土くれみたいな干からびた納豆の据え膳なんか食えるか、と言いたいんだろうけど、ちょいとかきまぜれば泉湧き、ねっちょんぐっちょん糸を引き、匂い立つ。絶品に化けそうな予感、抱いてるでしょ?

やったろ?その62歳のババアを想ってのせんずり。こたえられなかったにちがいない。だってオナペットのレベルを下げるほど得られる快感は増すんだから。やりたくてしようがない惚れたあのコを的とする我執の愚かさを思い知らされたことと思う。

板子一枚下は地獄。壁一枚隣は地獄か極楽か定かではないけれど、そこの住人が観音様かマリア様であることは相違ない。拝み倒してでもコトに及ばねばバチがあたるというものだぞ。

アパートの壁は単なる壁にあらず。それは今後のキミの人生を占う試金石だ。猛る陽根で突き破りまぐわいにまぐわうか、好みやら理想やら世間体やらを塗り重ね、というよりも、ババアなる蔑称を突きつけて相手の魅力の囚われの身となる不安を隠し逃げるか。

キミは19歳の学生。たいがいの粗相が若気の至りですまされる年齢であり身分。自室に引きこもって脳内セックスに明け暮れないでほしい。出撃あるのみ!おい、カメラやレコーダーなどの器具は置いてけ~。武装して赴くような戦場じゃないぞ~。

一コマ漫画回答根本敬

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音盤回答湯浅学

とっととやりなさい出しなさいなめなさいなめてもらいなさい。

人間とは出してやってなめてこそ生存理由が生まれるのです。贅沢は敵、ではなく、あなたの場合、ボランティア精神をこそここで発動しなければいけません。自分のことは後まわし。それでなければ世界は滅ぶのだと思って日夜はげんで下さい。ごはんも一緒に食べなさい。

お悩み募集!!

幻の名盤解放同盟の「泥船人生相談」では特殊なお悩みからたわいも無いお悩みまで、ジャンルを問わず募集しています。相談内容(600字以内)・氏名(任意/公開しません)・年齢・性別・職業を明記の上、件名を「泥船人生相談係」としてメールにてご応募下さい。

※お寄せ頂いた全てのご相談にお答え出来ないことをご了承下さい。またサイトで採用されたご相談は書籍化の際に掲載する場合がございます。謝礼はお支払い出来ませんが予めご了承下さい。
※頂いた個人情報をご本人の許可なく転用は致しません。

幻の名盤解放同盟 プロフィール

漫画家・根本敬(書記長)、音楽評論家・湯浅学(常務)、デザイナー・船橋英雄(社長)の3人が1982年に結成。以来、「すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有するべし」をスローガンに、この世で最も地中に根を下ろしすぎた超俗エブリシング・オールライトな音盤たち(他)の探求に明け暮れること33年(2015年現在)。その活動――イイ顔とイイ歌を既存のあらゆる倫理/道徳、価値体系から解放する行為――が発端となり生じた社会現象が、90年代半ばに脚光を浴びたポンチャック・テクノの帝王李博士の活躍や昨今の昭和歌謡ブームである事を知る人はおそらく少ない。

なお幻の名盤解放同盟名義の業績として、音盤に「幻の名盤解放歌集」シリーズ・「幻の名盤解放箱」・「幻の名盤お色気BOX」(いずれもP-VINE)・「和ラダイスガラージ DJ MIX VOL.6 -女のスナッキーを踊ってみろ!」(永田プロモーション)、書籍に『ディープ歌謡 The dark side of Japanese pops』『夜、因果者の夜』(ともにペヨトル工房)・『幻の名盤百科全書』(水声社)、『お色気ディープ東京』(ブルース・インターアクションズ)・『元祖ディープコリア』(K&Bパブリッシャーズ※4半世紀に亘り3社の版元を経ての最新版)等がある。

「ロマンガロン」第12話 まどの一哉

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ベテラン・まどの一哉が、なんとロボットマンガの長編に挑む話題作!

ベテラン・まどの一哉氏が、なんとロボットマンガの長編に挑む話題作!
これまでもお伽噺等をベースにSF色強い作品を描いていますが、この空想、実はもうひとつのリアリズムを表現しているのです。
コミカルな仮面の下に隠されたまどのマジックを新連載「ロマン・ガロン」でご堪能下さい!

【まどの一哉 】
1956年生、大阪府出身。美学校絵文字工房(講師・赤瀬川原平)卒。
1976年、月刊漫画『ガロ』12月号にて「運命の男」でデビュー。その後『クイック・ジャパン』等で作品を発表。
2006年より『アックス』で意欲的に作品を描き、現在オンラインマガジン『電脳マヴォ』にて「三角帽子」を連載中。

まどの一哉「絵空事ノート」http://esoragoto.iga-log.com/
「電脳マヴォ」公式サイト http://mavo.takekuma.jp/

著書として『洞窟ゲーム』『世の終わりのためのお伽噺』(青林工藝舎)、『西遊記』(ワイズ出版)がある。

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「ノドの迷路」第15回 逆柱いみり

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p class=“comment”>『アックスVol.94~Vol.100』に連載された作品の続き。

『アックスVol.94~Vol.100』に連載された作品の続き。ノドのあたりが変になってしまった同級生を連れて保健室に行ったが、ヤブ医者の手術で形が奇怪に変わってしまった同級生を、人間の形にもどすために二人は迷路のような町を歩き回るのだが…。

【逆柱いみり】
月刊漫画「ガロ」1989年10月号に「くじら」その他短編で入選。その後『ガロ』『アックス』などで作品を発表。著書として『ネコカッパ』(河出書房新社)『赤タイツ男』『空の巻き貝』(青林工藝舎)などがある。
漏電銀座裏通り http://d.hatena.ne.jp/nkpmkp/

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「もちが焼けたよ」 第13回 筒井ヒロミ

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餅になったおじいちゃんと一緒に暮らす大河くん、えっ、どーなっちゃうの!?

「おじいちゃんがモチになっちゃったんだよ」
「最近はやってるんだよ、高齢者のモチ化。でもまさかウチもなんてね…」
「モチなら食べてしまえばよいではないですか!」
「そうはいかないよ、一応おじいちゃんなんだから…」
モチになってしまったおじいちゃんと暮らす大河くんとその周辺のお話「もちが焼けたよ」が
4コマ漫画になって放電横丁に登場です。どうぞお楽しみに!

【筒井ヒロミ】
1977年生まれ。2009年、32歳で会社を辞めて漫画の持ち込みを始める。
第13回アックスマンガ新人賞・南伸坊個人賞受賞。
○著書『トロミちゃん THE TOROBAKO GIRL』(青林工藝舎)
○ブログ http://nya-nya-studio.com/

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「ロマンガロン」第13話 まどの一哉

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ベテラン・まどの一哉が、なんとロボットマンガの長編に挑む話題作!

ベテラン・まどの一哉氏が、なんとロボットマンガの長編に挑む話題作!
これまでもお伽噺等をベースにSF色強い作品を描いていますが、この空想、実はもうひとつのリアリズムを表現しているのです。
コミカルな仮面の下に隠されたまどのマジックを新連載「ロマン・ガロン」でご堪能下さい!

【まどの一哉 】
1956年生、大阪府出身。美学校絵文字工房(講師・赤瀬川原平)卒。
1976年、月刊漫画『ガロ』12月号にて「運命の男」でデビュー。その後『クイック・ジャパン』等で作品を発表。
2006年より『アックス』で意欲的に作品を描き、現在オンラインマガジン『電脳マヴォ』にて「三角帽子」を連載中。

まどの一哉「絵空事ノート」http://esoragoto.iga-log.com/
「電脳マヴォ」公式サイト http://mavo.takekuma.jp/

著書として『洞窟ゲーム』『世の終わりのためのお伽噺』(青林工藝舎)、『西遊記』(ワイズ出版)がある。

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「ほっかほっか電信」 第2回 永井ミキジ

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誌面で連載中「ベンチウォーマーズのほっかほっか通信」の裏話をお届け!

「ほっかほっか電信」 第2回

「ほっかほっか電信」 第2回 永井ミキジ

かれこれ「ベンチウォーマーズのほっかほっか通信」を連載させてもらってから数年。毎号誌面ではお届けできなかった裏話をメンバーの永井ミキジがこちらで書かせていただきます。

今号(106号)は昨年に引き続き「食ってる人のカレーガイド2015」と題して、カレーを人並み以上に食べている人たちと、この1年食べてきたカレーについて色々と話しました。

今回もこの1年で食べた美味しい店ベスト3を参加者に挙げてもらいました。ベンチメンバー島田真人(通称カレーの島田)がベスト3にあげたお店の一つ、上石神井の「ふんだりけ」は誌面で書いたとおり情報があまりなく、ネットで調べても営業日・営業時間・住所がわからず、実際に島田さんが何度も足を運んで、8度目の正直で食べることができたらしく、その後も店頭で知った営業時間に足を運んでも臨時休業していることが多々あるそうで、座談会でも「もう閉まってると思って行って欲しい」というよくわからないアドバイスをしていました。後日、島田さんに営業している確率の高い条件を教えてもらって行ってみたのですが予想通り臨時休業でした。

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臨時休業だった「ふんだりけ」

仕方なく外観だけ撮って帰ってきました。上石神井周辺には他に目立ったカレー屋がないので、もし臨時休業の場合は隣駅の上井草、井荻に「キッチン南海」、バスで西荻窪に移動すれば美味しいカレー屋もあるので、なんとか心のダメージを緩和してください。

ところで島田さんはカレーを愛するがゆえに巻き起こる逸話が多い人です。僕も彼とカレーを食べに行くことが多いので、そういうシーンに立ち会うことは日常茶飯事。メニューにないコーヒーが食後に出てきたり、入店するやいなや厨房から店主が挨拶にきたり、休業した店の内部事情に詳しかったり……。以前連載していた「こフイナム」というサイトにも何度か“カレーの島田”について書いてるので興味のある方はぜひ。

スペシャルゲストのひとり井上ダイスケさんは島田さんとはまた違った個性でカレーを楽しんでいる人で3人でカレーの話をするとバランスがよく、座談会ではとてもありがたい存在です。彼がベストにあげた「仮)BLOCK HOUSE 水曜カレー」は僕も何度か行きましたがすごく美味しかったです。現在は営業が不定期なので気になる方はfacebookで確認してから行ってください。店主は色々なイベントでもカレーを出されてるので、そちらに足を運ぶのも良いと思います。

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「仮)BLOCK HOUSE 水曜カレー」のランチプレート

カラスヤサトシさんはお誘いしたときに、「なかなか忙しくて新規開拓ができてない……」ということでしたが、ご自身のマンガで登場するご本人そのまま、カレーにまつわる話も面白く座談会になくてはならない存在。初参加の熊谷文明さんもカラスヤさんのカレー本の担当編集者だけあって、とてもカレーに詳しいので座談会に参加をお願いしました。昨年に引き続き今年もご協力ありがとうございました。

そういえば、カラスヤさんとは住んでいる地域が同じなので、近所でカレーを食べると「カラスヤさんはここ食べたかな……」とか、変な空間があると「カラスヤさんはここチェック済みかな……」と余計なことが頭に浮かぶのですが、これだけ近所なのにバッタリ遭遇することがなく、この座談会で今までため込んでいた、ど~でもいい地元情報をついつい話してしまいます。

例えば……今年はモノマネ芸人ゆうたろうさんが経営していた「ボスコ」の跡地に、ビートたけし公認モノマネ芸人ビトタケシさんが経営する「ボスコ・ビト」がオープン。昔々、店の近くにあった「ダイアン」というカレー屋のサラダカレーのレシピを引き継ぎ、お店で提供しているのだが「ダイアン」があったのが何十年も前で店内にも「ダイアン」の情報があまりなく、8年近く住んでる自分でも、ありがたみが全くわからないという話をしたのですがローカル過ぎて本編ではボツにしました。

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「ボスコ・ビト」のサラダカレー

ビトタケシさんは空手有段者だそうで女子に教える空手エクササイズ「美人空手」の生徒募集の張り紙が店内貼ってあった。店を出たあとに美人(ビト)空手と読むことに気がついてハッとしてしまった。

さてさて、次号は「旅」をテーマにした特集になります。近所にぷらっと散歩から地球の裏側までメンバーが旅に関する色々をお送りします。

最後に僕があげたベスト3のカレーを紹介します。なぜこのお店をえらんだかは是非誌面をご覧下さい。

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「beeteat」のエゾシカのドライカレー

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「レカ」のスペシャルセット

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「ソルマリ」のフライドモモ

永井ミキジ

永井ミキジ プロフィール

グラフィックデザイナー・アートディレクター
http://www.mikiji.tv/

あらゆるジャンルが集まった集団ベンチウォーマーズのデザイン担当。メンバーは永井ミキジをはじめアックス作家の堀道広、齋藤裕之介、イラストレーターの菱沼彩子、ライターでありカメラマンの成田敏史、編集担当のビキニライン、カレー担当の島田真人の7人で構成。

「ハルさんちのハンドメイド~大きな手小さな手」第十八回 池田ハル

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イラストレーター池田ハルが娘さんと一緒に作る楽しいハンドメイド!!

「ハルさんちのハンドメイド~大きな手小さな手」第十八回 池田ハル

  • プラ板で似顔絵付きのアクセサリーをつくろう!ワークショップ。
  • 木工ワークショップに参加して来ました。
  • 日記マンガ「夏の日のこと、夕食のあと」。
  • 贈り物のお花シリーズいろいろ。

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プラ板で似顔絵付きのアクセサリーをつくろう!ワークショップ。

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すっかり涼しくなりました東京から、時間軸を戻しますー。 夏の終わりにうちの娘さんが熱を出しまして、今回はじめてワークショップを延期にしました。直前まで準備を進めていたのでとても残念。。。でもこればっかりはー。

これまでもっと小さな頃から度々こどもたちと集まり作って来ましたが、奇跡のようなタイミングでしたね。時間や体調を調整してもらい、みんなの協力があってこその「あそび時間」でもあるのです。とっておきの。

まずは元気になって良かったです。仕切り直しての新学期、元気に集まることが出来ました。 プラ板で似顔絵付きのアクセサリーをつくろう!ワークショップは、それぞれに描きたいモチーフを考えて来てもらい、こちらが準備しカットしたプラ板に親子で描いてもらいました。今回はプラ板0.45ミリを使用。オーブントースターを500℃に、余熱4分、本番1分ー。

簡単そうに見えるのですが、案外慣れとコツのいる作業です。試作ではプラ板0.2ミリから~0.45ミリまで様々な大きさと温度で作ってみましたが、10個作ってもキレイに仕上がるのは1、2個という低クオリティ。。。本番で失敗しないようにドキドキのヒヤヒヤでした。焼き上がったプラ板に、こどもが作り易い大きめのウッドビーズやウッドボタンを組み合わせて、お母さんと一緒にブレスレットやネックレスを作りましたよ。制作風景をご覧あれ~。

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わたしが色々なところから集めて来た素材を、お友達のイメージで色や模様と選り分けるのは娘さんの係です。

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毎回参加してくれるお友達へワークショップの説明と手紙を書いてお渡しします。

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似顔絵や好きなモチーフを沢山描いてもらいました。数が多くて焼くのが大変でしたー。

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もちろん、ハルさんも描きました。

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焼き上がったプラ板を本に挟んでカタチを整えます。

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ウッドビーズを通して、最後の仕上げはお手伝いしました。

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長~いネックレスが出来ました!

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茶色系のビーズを集めて作るとシックですね!蝶々のウッドボタンを組み合わせて。

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大小ウッドボタンとプラ板を毛糸でつないだキーホルダー。 さらに小さなビーズと蝶のウッドボタンを使ったネックレスは大人っぽく素敵に出来ました。 ペンダントトップをハート型に付け替えてもいいです♪

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試作品:
お弁当のフタ(プラ)を切り抜いて似顔絵かき。工作用プラ板の様にパキッとはならなかったけど、ふちが丸まってわりと可愛い仕上がりに。そのまま紐を通してキーホルダーの出来上がり!

そんな訳で、今回プラ板を丸型にカットして準備したのですが、四角よりも失敗が少なかったからです。 春先からずっとプラ板のことを考えていました。もっとこんなことが出来るかも!?と、今もまだ考えているのですが、プラ板は面白いですー。ひとまずはこれにて終了、またの機会に試作してみます。

それから、思っていた以上に難しかったプラ板似顔絵の師匠、堀道広さんに感謝いたします。アドバイスをありがとうございました。いつかわたしも堀さんにプラ板似顔絵を描いてもらいたいですー。

木工ワークショップに参加して来ました。

昭和記念公園の「木工房」へ、ワークショップに参加して来ました。(小学生は無料でした)「森の家」では自然の素材を使った工作も出来るようですよ。

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帽子をかぶったどんぐりたちがマツカサの屋根の下に集まっておりますー♪

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はじめての修正液を使ってどんぐりに目を描く娘さん。おじさんが見本を作ってくれていましたが、案外こどもには修正液は使いづらいようでした。

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こどもたちとの制作用に沢山のマツカサが準備されていました。綺麗にカタチを整えて着色すると花のようですね。かわいいなぁ!!木工房のみなさん、どうもありがとうございました。

日記マンガ「夏の日のこと、夕食のあと」。

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夏休みの後半は地元福岡へ。幼なじみのOちゃんとプールへ。それから、テント作りタイム!一晩中盛り上がり、その日は工作テントの中で眠りましたー。(夜中に出て来てお布団で眠りましたが…)

花火大会にドライブとー、沢山あそんだ最後の夜は、おじいちゃんおばあちゃんたちと地元の老舗洋食レストランにて食事。皆でサーロインステーキをオーダーしました。とっても美味しかった!けれど、ジャポネーズ風ソースがはじめての娘さんは全部食べられませんでした。気遣ってくれた母が、もう1件を提案してくれました。

『じゃ、帰りにデザートへ行こうか!』母

『そうしよう!ナカ川ね』わたし

けれど、どこを探しても「喫茶 ナカ川』はなかったのです。

『じゃ、不二家は?!』

思い当たる喫茶店、ケーキ屋さんを探すのですが、すでに閉店してしまったようでした。

マンガの中でハルさん(わたし)は『懐かしいなぁ』と言っています。でも、思い返すと実ははじめて入ったレストランなのでした。思い出は曖昧でまるで夢のような、夏の日のことー。

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地元の雑貨屋さんで入手したウッドボタンの数々。お気に入りのお店を見つけました。(Charmにて)

贈り物のお花シリーズいろいろ。

お友達に会う時のプレゼントにしたり、娘さんが日々折り紙で作っているお花のシリーズです。とても良く出来ていると思うので今回はこちらに公開させてもらいます。

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一年の内そのほとんどを東京で過ごして制作しているというのに、わたしは地元のことをよく描いていると思う。どういう訳だか、書き残しておきたいと思うんですよね。帰省とはそんな風に与えられた時間ではないかと。今も現役の老舗甘味処についてはまた次回に。(これが美味しいのよ~)

今日はここまで。

池田 ハル プロフィール

福岡生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、古着屋店長、デザイナーなどを経てフリーランス。イラストレーターとして女の子の企画を中心に活動中。ハンドメイド好きな一児の母親でもある。
「小さな手が大きくなるまで一緒に手作りできたらいいなぁ♪」

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