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「泥船人生相談」第14回  幻の名盤解放同盟

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幻の名盤解放同盟がお悩みの泥沼から真理の大海へと解放致します!

「泥船人生相談」第14回 幻の名盤解放同盟

――平等に聴く耳を持て。悩みに貴賎はない。同情も同調もいらぬ。――
人間の“生”の 現われである“悩み”を底辺から集め、既存のあらゆる倫理/道徳、価値体系の泥沼にはまったあなたを幻の名盤解放同盟が真理の大海へと解放致します。

■メイン回答:船橋英雄/一コマ漫画回答:根本敬/音盤回答:湯浅学
(毎月1回更新)

「泥船人生相談」 幻の名盤解放同盟

相談其の27(61歳 男 公務員)

昨年は還暦を迎え区切りの年となりました。今年の私のテーマはズバリ「躍動」です! 老後へのスタートを切りもちろん戸惑いはありますが、大空を羽ばたく未来の自分をイメージし、衰える体を敢えて奮い立たせアップテンポのダンスにもチャレンジしています。私がもっと躍動するに何をしたらいいですか? 是非教えて下さい。

メイン回答船橋英雄

こちらこそその元気の源は何なのか教えていただきたい。自宅階段の上り下りで息を切らす体たらくですから。情けないったらありゃしない。

いつの頃からでしょうか、スポーツが苦役としか感じられなくなり無縁となったのは。なんでわざわざ疲れることをせにゃならんのや、自分をいじめてどうするんや、怪我でもしたらつまらんで、やめとこやめとこってね。

知人に東京マラソンで走った奴がいて、一杯やった時、得々と話すわけ、参加の証拠品たるバッジだかなんだかを見せながら。ものすごい数の応募者から抽選で当たる確率の低さ、完走タイムから始まって移り変わる景色、風や人いきれのにおい、地響きみたいな足音、他の走者とのエピソード、ゴール後の達成感などなど夢中で披露する事柄は多岐にわたった。

「へえ」「ふうん」「すごいねぇ」と相槌を打ちながら聞いていたけれど、実際は『アホちゃうか、ホンマ、体力と時間の浪費やで!』。

あ、いや、別に喧嘩を売る気はありません。当方はイソップ童話の例のあれ、手が届かないブドウはすっぱいとうそぶくキツネみたいなもんです、ハイ。

もしも貴男が71歳ならば、年寄りの冷や水と半畳のひとつも入れるところですが、まだまだ老け込む年齢じゃない。

「もっと躍動するには何をしたらいいですか?」とのお尋ねですが、それは体が、みなぎる精気が自ずと教えてくれるので、あれこれ思案する必要はないでしょう。自然体で大いに励んでください。

一コマ漫画回答根本敬

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音盤回答湯浅学

一気にそのような気分になりたいのならアッパー系のドラッグをおすすめします。もう還暦ですし、世間の目を気にしたり社会的地位に拘泥していては躍進など望めないでしょう。やりたいことをやる。

それを年配の人間ゆえの行動原理と考えずして躍進はありえません。躍進とは自分は躍進したと実感することだからです。他人の評価をあてにしていてはいつまでたっても躍進した気分にはなれません。実感できなければ虚しいだけです。

ですから、まず気持ちをあげることです。ドラッグが性に合わないという人は、犬を真似して暮らすのがいいと思います。そしてよく食べよく走りよく跳ねよく寝てください。それがなにより。

相談其の28(59歳 男 サービス業)

僕は最近ブログを始めたのですが、何を書いたらいいのか分かりません。とりあえず朝昼晩の食事とおやつを毎日写真に撮りアップしてますが、それ以外これといって書くこともなく虚しくなります。かといってやめたらやめたでもっと虚しくなるのが怖いのです。どうしたらいいでしょう。

追伸 来年で35年間勤めた会社も定年を迎えます。虚しさが増すばかりです。

メイン回答船橋英雄

虚しいなら虚しさを吐けばいい。戯言、泣き言を呟けばいい。それも実のある表現。いいね!

一コマ漫画回答根本敬

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音盤回答湯浅学

何も書くことがない。と毎日綴って、毎日何も撮る気がしない結果をカメラに収めてください。それがなによりの自分供養。

お悩み募集!!

幻の名盤解放同盟の「泥船人生相談」では特殊なお悩みからたわいも無いお悩みまで、ジャンルを問わず募集しています。相談内容(600字以内)・氏名(任意/公開しません)・年齢・性別・職業を明記の上、件名を「泥船人生相談係」としてメールにてご応募下さい。

※お寄せ頂いた全てのご相談にお答え出来ないことをご了承下さい。またサイトで採用されたご相談は書籍化の際に掲載する場合がございます。謝礼はお支払い出来ませんが予めご了承下さい。
※頂いた個人情報をご本人の許可なく転用は致しません。

幻の名盤解放同盟 プロフィール

漫画家・根本敬(書記長)、音楽評論家・湯浅学(常務)、デザイナー・船橋英雄(社長)の3人が1982年に結成。以来、「すべての音盤はすべからくターンテーブル上(CDプレーヤー内)で平等に再生表現される権利を有するべし」をスローガンに、この世で最も地中に根を下ろしすぎた超俗エブリシング・オールライトな音盤たち(他)の探求に明け暮れること33年(2015年現在)。その活動――イイ顔とイイ歌を既存のあらゆる倫理/道徳、価値体系から解放する行為――が発端となり生じた社会現象が、90年代半ばに脚光を浴びたポンチャック・テクノの帝王李博士の活躍や昨今の昭和歌謡ブームである事を知る人はおそらく少ない。

なお幻の名盤解放同盟名義の業績として、音盤に「幻の名盤解放歌集」シリーズ・「幻の名盤解放箱」・「幻の名盤お色気BOX」(いずれもP-VINE)・「和ラダイスガラージ DJ MIX VOL.6 -女のスナッキーを踊ってみろ!」(永田プロモーション)、書籍に『ディープ歌謡 The dark side of Japanese pops』『夜、因果者の夜』(ともにペヨトル工房)・『幻の名盤百科全書』(水声社)、『お色気ディープ東京』(ブルース・インターアクションズ)・『元祖ディープコリア』(K&Bパブリッシャーズ※4半世紀に亘り3社の版元を経ての最新版)等がある。


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